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食べる薬用酒や、ストレス解消や眠気防止などの医薬品、それから、バニラエッセンスなど香料への応用も考えています」なるほど、宇宙での宴会計画はもろくも崩れさってしまったが、粉末酒にはまだまだ新しい展開が期待できそうだ。
「私がいう美容とは、太らない健康的な食事のことを指します。
それには米、というよりごはん、ごはん食が最も適しているんです」T大学教授のSさんは「米は美容食」というキャンペーンを、アメリカで大々的に展開している。
美容というと、つい化粧やエステ、あるいはダイエットなどを想像してしまうが、基本は食生活にあるという。
「ごはんを中心とした食事をすすめる理由は2つあります。
肥満を防止してカッコよく生きるための美容的意味、それから中高年になったときに美しい人生を送れるよう具体的にサポートするための健康的意味です」広い意味では、スポーツの世界でスタミナを支えているのも、美容の1つだという。
それなら美容食というより、健康食といったほうがピンとくるのではないだろうか。
「いや、健康食という言葉自体おかしいと思いますよ。
これを食べれば健康になれる、といったメニューなどありませんから」ごはんが美容食だという最大の理由は、献立の自在性にあるという。
たとえば、ごはんならいろいろなおかずと組み合わせて食べるのもいいし、ごはん自体を調理することもできる。
これによって、脂肪の少ない食事から多い食事まで、さまざまなバリエーションが考えられるわけだ。
パンが中心の欧米型の食事では、そうはいかない。
「われわれがアメリカで教えているのは、食べ方なんです。
具体的には、白いごはんとおかずを交互に食べる、口中調味という食べ方です。
特別なメニューが美容や健康にいいと思っている人が多いようですが、それは間違いですよ。
ごはんでなければできないこの食べ方が、いちばん注目すべき点なんです」味のないごはんを口の中に含んで、おかずで味付けする。
この方法なら、でんぷんと脂肪とタンパク質をバランスよくとることができるのだという。
「同じメニューでも、若い人なら、ごはん2膳に対して肉料理を全部食べるとか、中高年の人なら、ごはん2膳に対して肉料理を3分の1に抑えるとかできる。
食べる人が栄養のバランスを調節できる点が、口中調味の最大のメリットなんです」メニューそのものには栄養のバランスを決定する力などない、というのがSさんの持論だ。
多くの日本人はそこを誤解して、かえって栄養のバランスを崩すという皮肉な結果を招いていると指摘する。
「間違った食べ方をしていることに気づいていないから、人に教えることもできない。
だから日本に来る欧米人は、みそ汁、てんぷら、焼き魚、おしんこと食べていって、最後に、ごはんに醤油をかけて食べたりするんです。
最後の付け足しとしてね」つまり、私たち日本人からして、料亭や旅館のように、酒と料理を楽しんでから、最後にごはんを食べるのが、粋な日本食の食べ方だと思い違いをしている。
そして、そんな食べ方を、すでに日本の子どもたちの6割以上がやっているというのだ(もちろん、子どもの場合は酒を抜いての話だが)。
このままでは脂肪・タンパク質過多、でんぷん不足という栄養のかたよった状態になりかねない。
「いままで私たちが健康を維持してこれたのは、ごはんとおかずを交互に食べるという食卓のマナーのおかげだったんです。
それがいまでは、せっかくごはんを食べているのに、不健康な民族に成り下がっているんです」ごはん食の良さを理解するためには、食べ方の文化を知るところから始めなければならない、とSさんは強調する。
「アメリカ人にも日本流のマナーを伝えたうえで、ごはんなら脂肪を加えないメニューがいくらでも用意できることを教えています。
もしビーフ、チキン、ベジタブルなどを食べるときは、ピラフにしないで、白いごはんのまま、おかずと交互に食べることを基本に置きなさいとね」日本人は自らの食文化を掘り下げようともしないで、板前が作るお寿司やてんぷらなど、日常、家庭の食卓には上ることの少ないメニューを、日本食だと思い込んでいる。
「家庭で、白いごはんをおかずで食べるということが、本来の日本食のあり方なんです」過熱気味な健康ブームのなか、エステティックサロンや高価なダイエットフーズに、多額の資金をつぎ込んでいる女性も多いことだろう。
しかし、私たち日本人にとっていちばん身近なごはんが、美容と健康を支えてくれる最高のメニューだったとは。
灯台下暗しとはこのことである。
あなたは野菜が好きですか。
「野菜好きの人は、全体的に減っているでしょうね。
食べなくては、と思ってはいても、好みや食べやすさ、それに手間や時間的な問題で、野菜と上手なつきあいができていないんじゃないですか。
もっとも、本当の野菜になかなか出会えないこともあるかもしれませんが…」女子栄養大学教授のYさんは、そう分析している。
かって日本人は、季節の野菜をいっぱい食べていたはずなのに、だ。
現在日本で市販されている野菜は約150種類。
同じキャベツでもむらさきキャベツや芽キャベツといったように分けてみると、さらにその3〜4倍になるという。
新たな種類が次々と登場するなか、好まれる野菜と敬遠される野菜の差がはっきり出てきているようだ。
「昔は野菜畑の5分の1は大根でした。
貧しい時代の発想ですが、腹一杯にするには大根しかないといわれていたほどでね。
いまでは家庭で白菜漬けやたくあんなどを漬けるところは少ないし、米ばなれでみそ汁や煮物もあまり作らないから、大根や白菜の生産量は当然減っています。
逆に、消費量が増えているのが、レタスやプチトマトなどです。
ひとくちでいえば、おしゃれっぽい野菜ですね」それは、現在のサラダ志向に原因があるという。
サラダ向きに柔らかく、歯ざわりがよく、見た目のいい野菜が求められているのだ。
「日本の食のスタイルが変化したとしかいいようがないですね。
食事そのものがスナック感覚になったから、野菜もサラダやつけあわせ程度で、デザート的に食べるようになった。
あまり個性の強くないものに、マョネーズやドレッシングをかけて食べるようになったんです」そういわれてみれば、ごぼうにしても、サラダ用に柔らかく小型のものが登場している。
味にしても全体的に淡白で水っぽい。
「野菜は本来『野』で作るから『野菜』でしょ。
それが、いまはハウスで作るから『屋菜』になってしまった。
一年中手に入る利点はあるが、そのためにアクも匂いも個性もない。
トマトだって、昔はもっと太陽をいっぱいに浴びた迫力があった。
それがトマトの魅力だったのに……」ハウス栽培での問題は、太陽光に十分に当たっていないことだとYさんは指摘する。
そもそも野菜を食べる目的はビタミン類の摂取にあるのだが、そのビタミンやミネラルは、直射日光に当たることによって、その含有量を増すことが多い。
ビタミン類は体内でタンパク質や脂肪、炭水化物が分解利用されるのを助ける働きがある。
摂取した栄養素を効率よく使うための、縁の下の力持ち的存在なのだ。
しかし、脂肪なら皮下脂肪としてストックできるが、ビタミンは貯蔵がきかないので、毎日食べなければならない。
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